下駄箱の中に入っていた一枚の紙の存在を、授業が始まってから思い出し
   ポケットから取り出して開いた。

   ノートを千切ったそれに鉛筆できたない字で書いてある。

   朝、がそれを取るまで見守っていた奴の存在を知っていたので、
   差出人は安易に想像できた。

   ブタなぬー。小さく書いてある横には可愛らしい信子のブタを真似た
   あまり可愛くないブタがあった。
   彰より、とフキダシから出てる差出人に、やっぱりなと納得する。



   『なんだか、最近そっけないからさ、コレなら話してくれるとおもって
    おてがみかいたっちゃ☆』



   ひらがなばっかの汚い字が彰らしくて、呆れた。

 

   『オレ、なんかきらわれるようなコトしたー??』



   してないよ。心の中で呟く。

   この教室の中に、あの三人はいない。
   いつもなら斜め前にいる彰が今はいない。三人の世界。



   『だったらあやまるから、また屋上きてほしいぬー。
    ノブタもしゅーじくんもさみしぃーっていってたし、』



   次に書かれている言葉が、痛かった。
   仲間には入れないのに。期待させるようなことは言わないで欲しいよ。


   

   『オレもすっげーさみしぃーかぁら、さ!』




   間延びした話し方は面倒なのか文面ではあまり伝わらない。
   でも、耳に残っている忘れるはず無い声が甦る。





   『それに、おれ気づいたのよーん』





   そこで手紙は不自然に途切れていた。


   
   何なのさ、気になるじゃない。



   そう思うのと同時、気付いたら立ち上がって、先生が止めるのも構わずに
   彼らだけの世界の屋上にいる三人のもとへ、向かっていた。





   大きな字の中にまぎれた、小さい字。










   『スキ』










   答えは何だかもう知ってる。

   意外と遠回りな手を使った彰が可愛かったから、途中で返事を書いていこう。
   そして、微笑って渡してあげよう。



   彼の世界に入り込める、心からの言葉を。