にゃー。
いきなり来た訪問者は、寒さに頬を紅くしながらも
上着の中に可愛い連れを入れていた。
「・・・・・・あ、彰?」
何、それ、どうしたの。
白くてふわふわもこもこしている小さな連れを、大事そうに撫でながら
彰はずかずか家に上がりこむ。
勝手知ったる他人の家。ヒーターの前にしゃがみこむと、
可愛いお連れが小さく声を上げる。
掠れて消えてしまいそうな声なのに、それはとても大きく響いた。
「こいつまめちち飲ぉまないぬぅ!うしの乳ちょーぅだい!」
普通に牛乳って言えよな、と呟きつつ、私は冷蔵庫から牛乳を出す。
というか、このこどうしたの。
彰が動物を拾ってくるのは珍しいことだった。
彼らには彼らの生活がある、そんな感じにしか接していなかったのに。
「こいつ、飼ってくれない?」
「・・・珍しいね、彰。別に構わないけど、」
「んー、だってこいつ、」
(ちゃんにそーっくりだったの、だからつい、)
傍においておきたいなと思った。
でも上着に入れた途端、浮かんだのが君の顔で。
気付いたら足はここにいていて。
「・・・名前、何にしようか」
「シロ!(がいいなんて考えちゃダメ、俺!スケベ!)」
「犬じゃないんだから・・・却下!」
「チチ!」
「漫画じゃないの!却下」
彰の心境はわからないけど、それでも多分、彼はこいつに逢いに
毎日うちに来てくれるのだろう。
だったら、いいかと思ってしまえる自分が可笑しかった。
((こいつをダシに、もっと一緒にいれたらいいな))
互いに違うようで同じ思いを抱きつつ、微笑んで猫を撫でた。
にゃーという小さな声と共に猫は彰の上着から抜け出した。
「とりあえず、」
早く名前を決めなきゃね。彰に変な名前を付けられる前に。