やっと再会できた、彼女。

   成長した彼女はボールを離した瞬間、別人のようになっていた。
    
   ボールがいるから、自信を持っているかのように。

   








 
     C&F








   会社に連れ戻された平馬は、シャワーを浴びて朝食を取っている。
  
   もちろん、ケースケの部屋でだが。

   フィッシュサンドをかぶりついている平馬に、圭介は問う。

  
  


   「さっきの子、誰だよ?」

   「俺の初恋」





   ゴン!と圭介は、テーブルに額を強かにぶつけた。

   ・・・うわ、痛そー。
 
   ケースケは痛みと混乱で声も出せずに悶絶する。
   
 
   がちゃ、とドアが開いて須釜が入ってきた。






   「いい子でも見つけたんですか?」
  




 
   悶絶するケースケを一瞥して、あえて触れずに須釜は平馬の向かいに座る。

   にこにことしたいつもの笑顔。




   「まぁな」

   


   コーヒーを啜りながら答えた平馬に、須釜は楽しげに目を細めた。   








   「あの子、くんに似てましたねー」






 
   え、と二人は須釜をみた。

   どうやら痛みから復活した圭介は、首をかしげた。




   「似てたか?」

   「えぇ。彼が女装したらそっくりになりそうです」

  

 
   暢気な口調で言う須釜に、平馬は視線を逸らした。

   そして同時に、みてたのかと圭介は内心苦笑した。


   


   「・・・まぁ、も気に入ってるけど」
 
   

 
  
   彼女は別格、と呟く。

   そうだ。に感じるあの面白さと、彼女に感じる魅力は

   どこか似ている。でも、彼女の魅力に比べ、はあまりにも不器用で頼りない。

   彼女は堂々と、自分に自信を持って輝いていた。

   反対に、は受け入れられるか否かに怯えながらその魅力を覗かせている。

   まるであの時ボールを手放した、彼女のように。
   

   



   「彼女がくんだったら、面白いですよね」






   それはありえないとわかりきっている。
  
   でもそれは平馬の耳へ、甘美に響いた。

   
   彼女と、どちらも同じだったら。


   あの魅力はもっと輝ける。

   ツバサ以上の“モデル”になることさえ可能だ。

   いや、俺が引き出してみせる。

      



   「・・・まぁ、この話はここまでにして」
   



   爽やかさの奥に黒さを宿しながら、須釜は微笑んで立ち上がる。

   


   「仕事、しましょうかー」




   そういって圭介を縮み上がらせてから、平馬の方を向いた。

   そうそう、と。






   「写真集のモデル、早く見つけてくださいね」


  



   もう誰を起用したがっているかわかっているくせに、念を押すように

   言ってから須釜は出て行った。