二人の間にあるのは温度差くらいなのかなぁ。
寒さに感謝して
英士と付き合い始めたのは、もう結構前のことだ。
気持ち的には、いつでも告白された次の日のままだけど。
マフラーをしっかり巻き、セーターの袖を少し長めにして
手を温めながらは校舎を出てきた。
出た途端、冷たい空気が全身を包む。頬がぴんと
張り詰めるように緊張する。あぁ、寒いー・・・。
そしてオマケのように、北風が軽く吹いた。
・・・こんなオマケいらないってっ!
「!」
「あ、英士」
ちょうど校門を出るくらいのとき、声をかけられた。
目も前に歩み寄ってくるのは、違う制服の美少年。
・・・・・・・・えぇ、私の自慢の彼氏ですとも。
「今日は早いねぇ」
「ちょうど授業が終わる時間、一緒だったから。
一応、メールしたんだけど」
「うっそ!うわー、気付かなかった。ごめん」
「別にいいけどね」
英士はそういうと先に歩き出した。
学校は違うけれど、と英士はほぼ毎日一緒に帰っている。
今はもう、当たり前のことになってるけど、実はこれは
凄いことなんだと友達がしみじみ言っていた。
「そういえば、結人は?」
「先帰ったよ。今日はカラオケぶっ通しだってさ、私の友達とかと」
「へぇ。結人にも彼女ができるかもね」
「あはは、ムリムリ!みんな一馬派だもん。もしくは英士」
「・・・・結人、悲惨だね」
テクテクと歩き続けていくと、ちょうど裏道に差し掛かる。
ここは、日が当たりにくくとても寒い。
それでなくても日がくれてきて寒いというのに、風を
ものすごく通す。
笑いながら話していると、英士の手が当たった。
その温度はひんやり、なんてものではなく・・・。
「うっわ、英士!手ぇ冷たすぎだよ、寒い?」
「別に平気」
「平気じゃないよ!風邪ひくし、それでなくても
英士は体温低いんだから!」
英士の体温は冷たい。夏はひんやりしてて気持ちいいくらいだけど。
今の英士の手は、ちょっと大げさだけど氷のようだ。
「じゃあ・・・・・の体温分けて」
「え?」
そういうと、英士はの手をとった。
別に嫌ではないのだけど、恥ずかしかった。
いつもは、手なんてつながないから。
でも。手をつなぐと、英士の体温がよく伝わってきた。
・・・・・・・・いつもより速い脈に、気付かれないといいなぁ。
なんて。
のんきに考えながらも、結構いっぱいいっぱいな自分。
英士といるからか、体温はいつもより少し高めな気がした。
「の手、かなり温かいんだね」
「でしょ?自慢の手ですわ」
「あ、でもこの間は冷たかったよね」
「さっきまで暖かい教室にいたから。温めると冷めにくいみたいなんだ」
「へぇ」
英士の手は、意外と大きくて。
綺麗な指だけど、やっぱりそれは男のもので。
「でもこれじゃ、の手が冷えるね」
「平気、平気!」
「俺の手冷たいでしょ?」
「大分温まったよ?」
繋がれた手から伝わる体温。
冷たい英士のと、暖かいのもの。
その二つが繋がれた手のところで、混ざり合う。
どんどん速くなってくる、の鼓動。
わかりにくいけれど、もちろんそれは英士も一緒で。
寒いのに暖かい、この雰囲気を二人はしっかりとかみ締めていた。
「・・・・・・・・そういえば、この間結人が手袋あげてなかったっけ?」
「なんのことかな」
「・・・・・・・まぁ、いいや」
強く風が吹いて、は肩をすくめる。
そのときチラ、と横目で、繋がれた手を見ては微笑む。
そんなを見ながら、英士も薄く笑っていた。
手袋は、実は英士のバックの中。バレてるんだろうけどね。
でもさ・・・。
せっかく、寒いんだから。
もっと、冬しかできないことを・・・・楽しみたいでしょ?