最後の、最後の秋大会。
転勤族の俺らが同じ学校にこんなに長くいられたのも
初めてだったし、なにより、こんなにいいチームで
サッカーできたのは初めてだった。
だから、全国へ行きたかった。
あのピッチに立ちたかった。
なのに。
ピピー!
長いホイッスルが鳴って、試合は2-3で終了。
負けて、しまった。
チームメイトが膝をついて泣き崩れた。
その姿がすごく、ゆっくりと、遠く見えた。
いいゲームだった。
先制点はうちのチームで、サイドの俺が上がって行って
あげたクロスが綺麗に合って。
その後の猛攻もいい守備ができていた。
取って取られて、取り返して、の好プレー連続の試合だった。
「ありがとうございましたー!」
両チームの選手で握手を交わして、互いの健闘を称えあって。
それでも勝者と敗者はあった。
日生は皆がいる控え室には戻らず、廊下のベンチで座っていた。
俺が蹴ってれば、あと一点取れたかもしれないのに。
あそこでイエローくらわなければ、勝てたかもしれないのに。
よかったところもたくさんあって、自分でもびっくりするくらい
体は動いていたけど、ぐるぐると反省するところばかりが浮かぶ。
「日生」
は名前だけ呼んで、日生にスクイズを渡した。
日生は顔を上げずに、それを受け取った。
汗が、止めようとしても溢れてこようとする涙と同化してくれて
助かる。でも、纏わりついてきて、すっきりしなくて。
「、タオルちょーだい」
確か俺のはベンチに置いてきてしまった。
そういうときはいつも、マネージャーであるが回収してきてくれている。
「はい、タオル」
その声にタオルをもらおうと日生は顔を上げた。
「っ」
同時に、額に、柔らかい感触がした。
にこにこといつものように微笑むの頬は少し赤い。
目の端がうっすら赤いから、きっと負けた悔しさを一緒に味わってくれた
ことを隠しているだけなのだろう。
「負けたから、おでこね」
呆然とする日生をよそに、はいたずらに笑った。
「さぁ、これから表彰式だし皆呼んでこなくっちゃ!」と
くるりと踵を返して控え室へと駆けて行った。
次こそ勝利を
「じゃあ次絶対勝って、口にしてもらうからな!約束!」