教室でパンを齧っていると、結城が後ろから話しかけてきた。
「随分と、仲がいいな」
「ん?」
「降谷とだ」
「まぁねー」
いいながら、は身体を反転させて、結城と
向き合う形に座りなおす。
「どうしたの、突然」
「いや・・・最近よくみるからな」
もちろん、野球部ではすでに有名になっている。
降谷本人が知らないだけで、レギュラーには筒抜けだ。
野球部の情報網とその透明度を舐めてはいけない。
「いいこだし、可愛いよ」
「そうか」
「うん。懐いてくれて、嬉しい」
部活入ってないから後輩っていないしさ、とは笑う。
・・・どうやら、降谷の気持ちには気づいていないようだ。
「・・・よかったな」
妹のように可愛がっていた幼馴染とあって、少し複雑だが
相手が御幸じゃなくて本当によかったと思う。
それに、本人は気付いていないようだが、好意は抱いていると
いうのが周囲からも見て取れる。
「何なら、明日の練習見に来れば?」
ひょい、と顔を出したのは亮介。
・・・びっくりした。
「練習?」
「うん。明日、校内の練習試合あるし」
結城に辞書を返しながら、亮介はニコニコと笑う。
「降谷、先発だよ」
「そ、う、なんだ」
そういえば、野球しているところは何回かちらっとみたことあるけど
試合してるところってみたことない。
彼が投げるのは、いつもがみている降谷のあの可愛さの
欠片もない剛速球。
試合だと、もっと違う一面があるのかな。
みてみたい、かも・・・。
「まぁ、気が向いたらおいでよ」
「あぁ、そうするといい」
亮介と結城はそういって、二人で視線を交わした後
ふっと笑った。
「調子のる奴がいるかもしれないけどね」
「・・・・御幸くん、どうにかしてくれたら行く、かも」
自分の気持ちがわからなくて、が冗談めかしてそういうと
亮介は笑みを崩さず頷いた。
「じゃあ、シメとく」
そういって、の頭に手を乗せて、教室へ帰っていった。