夏の大会が始まった。
   暑くて、ムシムシして、気持ち悪い夏。
   奪われていく体力に嫌気が差す。

   夏休みに入って、勉強がないのは凄い嬉しいけれど
   同時に先輩に会える確率もゼロになった。
   もうスイッチは、野球のことだけに入れる。  
  
   ・・・きっとキャプテンなら、連絡先も知っているだろうけど。



   「降谷ー!早く風呂入って来い」
   
   「・・・はい」
   


   夜になってようやく暑さの和らいだ風を受けながら
   風呂へ向かう。そのときずっと放置してある携帯電話が光ったことに
   降谷は気づかなかった。



   「そういや、さっき携帯ブルっとったぞ」



   風呂から上がって、部屋に帰ると先輩が教えてくれた。
   え、と降谷が携帯を持ったところで、先輩は他の部屋へと遊びに行った。

   珍しい。一体、誰だろう。
   携帯を開いてみると、そこには知らないアドレス。
  


   「誰・・・?」


  
   新着メールを、開く。

   そこには。




   「!・・・先輩」 



 
   先輩からの、メールだった。
   どうやって。どうして。疑問が次々とわいてきたが、それ以上に喜びが心を占めた。
   
   メールには、御幸から結城伝いで渡されたこと、大会について、
   東京の夏は暑いからと身体の心配。
   絵文字が所々にあるのメールは、まるで話しているままの文章だった。



   『補習があるからしばらく応援いけないけど・・・』



   ・・・先輩も、補習なんだ。あ、でも一個だけって書いてある。いいなぁ。



   『学校に中継入るから、応援してる!』



   メールを見ただけで、あの笑顔と声が目に浮かんだ。
   ・・・御幸先輩に感謝しなきゃ。