その人の事ばかり考えていると、赤茶が凄く目立って感じて。
よく目に付くようになった。
(あ、まただ・・・)
朝練のあと。体育の時。部活の前。アップの途中。
彼女は野球部のいるところに、よくいる気がする。
姿が目に入るだけで、心臓が跳ねて、落ち着かなくなる。
熱くて、焦がれて・・・何だろう、この感情。
「降谷君、購買行かない?」
「行く」
春市に笑顔で誘われて、こくりと頷く。
最近は毎日のように購買に世話になっている。
しゃけおにぎり、まだ残ってるといいな。今日はプリンも食べたい。
溢れかえる人垣の中、ここへ足を運ぶたびに彼女を探してしまう自分がいた。
遠目に見つけたときの嬉しさ。いなかったときの僅かな落胆。
知りたい。
話してみたい。
あの笑顔が、みたい。
欲望はわくのに、体は動かない。
(・・・御幸先輩なら、すぐ仲良くなるんだろうな)
予定通りのものを買って、教室で食べながら降谷は
楽しみだったはずのしゃけおにぎりがあまりおいしくないことに首をかしげた。
口に残るのは、彼女の香りに似たカスタードプリンの風味だけだった