「今日はやきそば?よく食べるねー」


 

   やっぱ男の子はすごいね、とが笑う。
   あの日以来、先輩はよく話しかけてくれるようになった。

   今日も購買帰りの降谷のところには駆け寄ってきた。
   春市は自販機に行くふりをして、降谷のためにこの場を離れていた。
   降谷は知らないが、邪魔をしたくないという心遣いだった。

   他愛もない会話。野球部のこととか、試合のこととかもちょっとした。
 
   


   「体慣れるまで大変だけど、体調気をつけてね」

   「ありがとうございます」

   「うん、いい返事!」
   



   ふわりと柔らかく笑ったり、にかっと太陽みたいに笑ったり
   の色んな笑顔もみることができるようになった。 
   

   
   「やきそばおいしいけど、焼きうどんもおいしいから一回食べてみてっ」

   「・・・はい」

   「なんか間があったね?」

   「・・・・・・・・・」

   「え、無視?淋しいからやめてー」
 

     
   御幸くんにしてるのよくみるけど、自分がされると複雑ね!とは笑って言う。
   その後も昼ごはんとか、裏メニューとか教えてくれた。・・・食べ物の話ばかりだ。

     


   「それでね、カレーラーメンっていうのが・・・ふわゎぁ・・・っ」




   会話の途中、ふいには口元に手をあてて、あくびを漏らす。
   大きな瞳にうっすら涙がうく。


   最近、先輩はよくあくびをする。
 
  


   「ごめん、寝不足で・・・」




   いつものように苦笑して謝るに、ふるふると首を振る。



   「何か、やってるんですか」

   「え、ううん。遅刻が多すぎるからってモーニングコールがね・・・」


 
   担任からだよしかも、とは唇を尖らせる。
   可愛い。・・・じゃなくて。



   「それでもまた寝ちゃうからさー」
 
   「・・・気持ち、よくわかります」

   「野球部早いもんね。太陽と共にとか鶏か!って感じ」

   
 
   疲れてるのに大変だよね、とは眉を下げる。
   ・・・あれ、なんだか朝練の時間まで知ってるみたい。
   よく知っているかのような口調に、降谷は首を傾げる。

   それに気づいたようで、は笑う。




   「今、呆れた担任が哲に頼んじゃって、毎朝迎えに来るから」

   


   毎朝毎朝同じ時間に、早すぎだからね!と頬を膨らます




   「もうおかげで毎朝教室で二度寝だよー・・・」
  



   コロコロと変わる表情をみつめながら、降谷は少し胸が苦しい。
   キャプテンと仲良いんだ・・・。

   歳の差や、先輩との距離を思い知らされた気分だった。