毎日の楽しみ。



   「降谷君!」



   そう呼ぶ先輩の声が、きけること。
   どんどん仲良くなれていること。

   そして、二人で話しているときにの友達が通りかかって
   指差してきたとき。
   

   
   「あ、、ズルいっ!」

   「えへへ、いいでしょー」



   にかっと笑って、は友達にピースをした。
   先輩は野球部投手としての僕じゃなくて、降谷暁という僕に
   対して接してくれる。だから、いいでしょという答えも。
   嬉しかった。



   「春市」



   
   ちょっと離れたところにいた春市に亮介が話しかけて、
   そのまま二人で少し言葉を交わすと、降谷とをみて
   くすり、と笑みを漏らす。       



   「仲、いいんだ?」

   「うんっ」


 
   亮介くんと違って私優しい先輩だから、とそれに気づいた
   クスクスと笑った。 
   ・・・すごいなぁ。あの人に対してそんなこといえるなんてと降谷と春市は
   内心、驚く。
   
    
   でもその後、が言い負かされたみたいにうっと唸ると
   亮介は満足気に笑って去って行った。さすが。
 
   そのまま一緒に戻らないでまた降谷に向き直ってくれるとこや
   仲が良い、との口から直接きけるのは、嬉しい。すごい、嬉しい。
   あのとき、頑張ってよかった。  

   じーん、と浸っていると春市が袖を引いて前方を指差した。
   そこには結城がいた。を呼んでいる。



   「・・・先輩」

   「ん?」

   「あっちで、キャプテンが呼んでます」

   「あっ、ホントだ。哲、何ー?・・・じゃあねっ降谷君」

    
 

   哲。


   ・・・・・・・・人間、欲が出てくるのかな。
   僕も、呼んで欲しい。
   もう呼ばれなくなってしばらくたつ、名前を。
   呼んで欲しくなる。

   暁、ってあの声で、笑顔で呼んでくれないだろうか。




   「・・・・・・・・・・っ」



  
   ・・・ちょっと想像して、降谷はふるふると首を振った。
   呼んで欲しいけど、呼ばれたら絶対、真っ赤になる・・・。

  
   

   「・・・・・・・・・」



 
   でも、やっぱ呼んで欲しい。
   いや、あまり欲張ってはダメだ。

 


   「降谷君、予鈴鳴るよー?」



  
   春市は静かに葛藤を続ける降谷に苦笑して、その手を引いた。