昼休み。四限の政経のだるさが意識を夢の国に掻っ攫いそうになるのを
単位ほしさに何とか気合で耐えて、迎えた至福の時。
弁当を食べ終わり、他クラスの友人の教室の窓側でキャラメルポップコーンを
ポソポソと食べながら、二人で空を眺めていた。
あー今日もいい天気ねぇ、なんて。隠居してるよ若さが。
「ー!」
のほほんしてたところに、大きな声で教室の入り口から名前を呼ばれる。
「なに、倉持」
「お前さ、和訳やってあんだろ?見せろ」
「はぁ?」
倉持は中に入ってこようとしないので、はしょうがないから立って、
入り口まで移動した。
こいつの声でかいから、教室中に響いて恥ずかしいし。
他クラスなのになんでこんなに目立たなきゃいけないのあたしたち。
それに、倉持の後ろに亮介さんが見えたから、軽く会釈しつつ、そのくすくすと
いう笑いに恥ずかしさが増したから。
「だーかーら、和訳だっつの」
「御幸のみればいいじゃんか!」
「あいつケチなんだよ」
「あたしもだけど?」
「・・・・・・。数学の小テスト、みせてやってもいいぜ」
「しょーがないなぁ」
つーかなんでお前こんなとこにいんだよ、探しただろ。
毎日マイハニー彩ちゃんと食べてるのよらぶらぶだから。
はっ!学年一位のマドンナとお前じゃつりあわないっての。
隠居老人みたいに空見てたくせに。
うっさい!・・・やっぱみせてあげない。
わー待て待て!それは困る!
たわいもない会話。
それでも、テンポよく、尽きることない言葉に楽しくなる。
「(あー、それにしてもこいつ背高いなぁ)」
二十センチくらいの近距離で話されてるから、首が疲れる。
でも、一応壁に寄りかかるようにしてかがんでくれてるから、まだ楽だ。
その代わり、顔も近いけど。
「じゃあ、和訳あたしの机から勝手に取っていいよ」
「右側に入ってるか?」
「うん。いつもんとこ」
「サンキュー」
あぁ、後五分であたしも自分の教室に帰んなきゃ。
倉持の嬉しそうな笑顔を見送ってから、は友人の元へ戻る。
友人は、じーっとを見つめていた。
「いやん、彩ちゃん。そんなに見つめられたら照れちゃうわ!」
のボケを完全にスルーして、友人はポソポソとキャラメルポップコーンを
小動物みたいにかじりながらいった。
「・・・倉持って、近いよね」
「あ、やっぱそう思った?」
「うん。・・・だと特に」
「別に人は関係ないでしょー」
ポソポソ。も同じようにキャラメルポップコーンをかじりながら答えた。
「あいつ基本的にアメリカンだからさ」
距離感とか、とは笑う。
すると友人は一度を見て、外を見て、ふうと息を吐いて、またへ視線を戻した。
そういえば、と。
「男女の距離って信頼度で変わるらしいよ」
「ん?」
「近ければ近いほど、信頼してるってこと」
「ふーん・・・そうなんだ」
そういえば確かにそうかも。
春市くんとか哲さんとかは未だに近くにいったことないし。
「・・・それに、顔の近さって結構大事でしょ」
「んー・・・?」
確かに仲が良かったら、別段気にならない。
苦手な人と顔近づけて話せるほど社交的じゃないし。
ちなみにもういっこ教えてあげる、と友人はくすりと笑った。
「、耳真っ赤だったよ」
「・・・っ!いや、ちがっ、あたしは別にあいつのことなんか・・・っ!」
あわあわとキャラメルポップコーンを落とす。
それにあいつ好きな子いるって言ってたし、とかいいながら
顔を真っ赤にしてる。
「(倉持も頑張ってるのにねぇ・・・)」
友人は息を吐きながら、その様子に笑みを漏らす。
あまりにも微笑ましすぎるに、くすくすと込み上げてくる
笑いを堪えるのは毎度のことながら大変だ。
「!お前、机に入ってないじゃんかよ!」
がら、と大きな音を立てて、教室の戸が開く。
ナイスタイミング。
ずかずかと今度はのところまでやってきて、頭を掴んで問いただす。
「っあ、わゎ・・・来るな倉持、近いっ」
、耳ーと友人は耐え切れなくなってクスクス笑う。
声だけは平坦だからたちが悪い。
「は?つか和訳どこだよ!」
「あーもーっ離れてよぉ・・・!」
これ以上近づかれるとこの赤さがばれちゃうでしょ!
近距離な君
「よかったね、すっごい脈アリみたいで」
「りょ、亮さん!?」
「あんなに赤くなっちゃって、ほんと可愛かったね」
くすくす。
「(やべー・・・口元にやける)」