物好きっているものだ。
物好き
最近、視線を感じることが多くなった。
翼と話しながら、柾輝は今日になって何回目かの視線を確認した。
今月に計算すると、一体どれだけ感じたことになるのだろう。
・・・・ほんと、やめて欲しい。学校でストーカー被害になんて最悪だ。
柾輝は中庭で翼たちと一緒に昼食をとっている。
今日は天気がいいのと、屋上が工事中だかなんだかで入れなかった。
そして、中庭にいる今、柾輝はやっと視線から開放された。
「はぁ・・・」
「何だよ、柾輝。溜め息なんてついて。飯が不味くなるだろ」
「なんでもねぇよ」
実際なんでもなくないのだが、翼に言ってもどうせ
「ばからしい」
の一言が帰ってきそうな気がしたのでやめる。
そんな柾輝に少し首をかしげながら、翼はふと前方を見て微笑んだ。
・・・・ように見えた。
実際は顔面中から
「来るんじゃねぇ。俺は今、飯食ってんだよ。邪魔すんな」
というオーラが飛び、悪魔のような微笑だった。
翼の見た方向には、一人の女子生徒がいた。
小柄で、明るそうな少女。
こちらに向かってくる。その少し遠くのほうに、友達らしき女子生徒が立っていた。
「あれ、やないか」
直樹が、口を開いた。
一斉にみんなの視線が直樹に集まる。
「誰?」
「二年の。柾輝の隣の組やで」
「へぇ」
「なんで直樹が知ってるんだ?」
「それは秘密や」
「なんだよそれ」
そんな話をしている間にも、はこっちに近づいていて、
気付けば目の前にいた。頬を紅く染めて、恥ずかしそうにしている。
「食事中すみません。あ、あの・・・。これ・・・」
が差し出したのは、手紙。
可愛い封筒に、細くて丁寧な字で何か書かれていた。
きっと宛名だろう
ラブレターの確立、99.9%。それ以外だったら面白い。果たし状か?
しかし、差し出した相手は・・・柾輝だった。
「は?俺・・・?」
「受け取ってください・・・!」
「翼じゃないのか?」
「いえ、黒川君です」
翼が面白そうな顔でみている。
普通、告白するなら翼にだろう?
困って、翼の方に目をやると、案の定「受け取れ」と目で言われた。
しょうがないので、柾輝はの小さな手から手紙を受け取った。
もちろん、断るつもりなのだが・・・。
その様子をしっかり見届けたは、
礼をすると、クルリと方向を変えて走り去っていった。
「開いてみろよ」
「あ、あぁ・・・」
「どんなのだった?」
他人事なのでとても面白そうに翼が言う。
自分が貰ったときはとてもめんどくさそうなくせに。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・はぁっ!?」
「ん?」
『 黒川君へ
報道部兼放送部(兼写真部)のです。
椎名先輩との熱愛ぶりを教えていただきたいので、放課後部室にきて下さいv
逃げようとしても無駄ですよ、証拠のものはたくさんあります。
全校の皆さん、またサッカー部の監督さんに見せてもいいのなら別ですがvv
前から気になってました、ぜひ、この企画に付き合ってくださいv 』
な・・・・。
「なんだこれッ!?」
「“P.S 一応ラブレターですv”だってさ」
「・・・・・・・・・。どこら辺がだよ・・・・・・」
「前から気になってました、と付き合ってくださいvじゃない?」
「・・・・・・・・・」
呆れたような微妙なをする翼に、柾輝は大きく溜め息をついた。
「俺にどうしろと・・・・・?」
この物好きのせいで、柾輝はこれから大変なことになるのは神のみぞ知る。
End