彼女の家が代々受け継ぐ雪の女王を思わせる蒼い瞳。
しかし彼女が持って生まれたのはブロンドの髪だけで、
こちらを見て微笑むのは、綺麗な湖の深いところのようなエメラルドの瞳。
そのことにより彼女が家中から疎まれたことをロンは知っていた。
ホグワーツ入学の少し前に発覚した、彼女の高い魔力を恐れた一族は
手のひらを翻すように態度が急変したという。
忘れもしないあの日から、僕らはずっと親友だった。
心の行方
ダンスパーティーの報せの次の日。
三大魔法学校対抗試合の盛り上がりと相まって、校内は浮き足立っていた。
「あら、随分と浮かない顔」
ロン、ハリー、と名前を呼ばれ二人は振り返る。
さらりとストレートの長いブロンドが風に攫われる。
甘いお菓子のような香りが漂った。
「その様子じゃあ、まだ相手が見つかっていないようね」
「・・・・・・そうだけど」
スネイプの授業だ。座席に着き、話を続ける。
ハーマイオニーの正面に座ったは、視線は二人に向けたまま
ペンをはしらせる。
「ドラゴンを倒せるのに、女の子はダメなのね」
くす、と笑いを漏らす。ハリーは少し苦笑した。
しかしはハリーのすぐ傍にフレッドとジョージの姿を見つけると
頬を紅潮させる。ハーマイオニーの頭を引き寄せ、どうしよう!と
小声で叫んでいた。どういうことだよ。
その後、がペンを走らせているうちに、ロンはハーマイオニーを
怒らせて、彼女はどこかに走り去ってしまった。
『一応女の子だよね』という言葉が、彼女を傷つけた。
鈍感なロンに、も頭が痛くなった。
「なんで怒ったんだ?」
「さぁ」
鈍感同士がくっついた二人は首を傾げていたが、すぐに
自身のペアのことに 話が切り替わる。
胸が痛かった。あの綺麗なパーティーに他の人と踊るのだろうか、彼は。
そういえばボーバトンの美女を誘ったと耳にした気がする。
「でも、」
「なに?」
「君もまだ、相手見つかってないだろ」
軽い口調で言ったロンだったが、その場の空気は固まった。
凛が少し間を空けたあと、ハリーに一度視線をやって
大きく息を吐いた。
「・・・・・・・いいえ。ハーマイオニー同様、私も誘われてるわ」
「え?」
冷静に考えていたら、別に意外なことじゃなかった。
の家はあの厭味ったらしいマルフォイの家と同じくらい、
いや、それより少し上の伝統ある家柄。
そして彼女自身も美しいといわれる容姿と高い魔力を持っている(らしい)。
頭はハリーと同じくらいということを、皆は知らない様だけど。
バツの悪そうに視線を泳がすに、とてもやるせない気分だった。
仲のよい彼女ならおしえてくれると思ってた。
そして、向こうから気軽に誘ってくれると思ったのか、僕は。
頼みの綱にでもしようとしていたのか。
「誰とだよ」
声が苛立っていた。
先を越されて悔しいのか、それとも彼女のドレス姿を
独り占めされるのが悔しいのか。(たぶん後者は無いと、思う)
どっちなのかはわからなかった。
が表情を曇らせた気がした。
「・・・あなたの、お兄さんのどちらかよ」
名前はいえないわ。
いつも逸らすことなく向かってくる視線が今はロンを捕らえない。
どちらか、ということはフレッドかジョージ、なのか。
頭の中が外の寒い風に攫われた感じだった。