隣にいる人がいなくなるのを寂しいと
初めて、思ったんだ。
ハリーと喧嘩したときも、本当に苦しかったけど
あのときよりうまく動けない自分に腹が立ったのは、本当に初めて。
心の行方
ごめんね、と呟かれたあの後も、僕らの関係は変わらなかった。
何度かが僕の話しかけようとしたようだけど、
悉く双子の兄たちに邪魔されていた。
次の日、ハリーが僕の家に遊びに来た。
は帰ろうとしていたけれど、それを双子の兄たちが許すはずなく
ハリーの後押しもあって、彼女は僕の家に留まった。
ジニーたちがを引っ張って、外に行った隙に
僕はハリーを小さく呼び止めた。
「なぁ、ハリー」
「・・・相談したいことが、あるんだろ?」
わかりやすいね、ロンは。
ハリーはこちらに寄ってきて、ベッドの僕の隣に座った。
スプリングが軋む。
「残念だけど、僕も女の子よりドラゴンの方が楽だよ」
苦笑するハリーだけれど、その瞳は全てを悟っているようだった。
ぽつりぽつりと話し出す。
彼女が、僕の部屋に来なくなったこと。
僕の目を見ようとはしないこと。
双子の兄たちとやけに仲良くなったこと。
小部屋に引き込んだときにみせた、傷付いた表情。
そのときの、僕の気持ち。
ハリーは黙って聞いていた。
吐き出しても吐き出しても、全然楽にはならなくて。
混乱している僕に、ハリーはデコピンした。
「休みが始まる前に言ったこと、考えてないの?」
「・・・・・・考えた、よ」
「どうだったわけ」
その言葉に対する答えは、出た気がしたんだ。
だから、彼女にそれを言おうと思って小部屋に引き込んだ。
でも、その瞳に映ることない僕が嫌で。
混乱してそのまま感情をぶつけてしまったんだ。
「だって彼女は、」
忘れもしない、あの日。
祖母の写真を抱いて泣き腫らした紅い眼で、はロンの家に来た。
唯一の助けである祖母を三年前に失った彼女は、涙しか流さなかった。
『もう、泣かないで』
あの日あげたお菓子の味は今でも覚えている。
ぽっかり月がういた空を眺めながら、隠れるように二人で食べた。
彼女の笑顔は戻り、その後もずっと親友だった。
『僕がずっと、傍にいるから』
『本当・・・?』
『うん。約束だよ』
丸い月を見ると思い出す、あの日のこと。
彼女の泣き顔。僕から出した約束。
壊れないで。笑ってほしかった。甘いはずのお菓子がしょっぱくて。
月明かりに見える彼女が何かの妖精のようで。仲良くなりたかった。
もっともっと。そう、いつまでも。
涙じゃなくて、まるで花が咲くような笑顔を僕の隣で見せて欲しかった。
ずっと傍で。一番近くで。
「・・・・・・それを早くいえよ」
ハリーは、呆れたようなものじゃなくて、ちょっと嬉しそうな
溜め息を漏らした。
答えが出ているのに、君はそれが答えじゃないって
ずっと言い続けていたんだ。
僕はハーマイオニーのように伝えてあげることは出来ない。
フクロウ便じゃないからね。
そういって、ハリーは廊下に出て行った。