ハリーが出て行った部屋で、僕は呆然としていた。
頭が追いついていない。
でも、なんだかすっきりしていた。
月を見上げたあのときのように、気がしたのではなかった。
はっきりと、鮮明な意見が出た。
・・・・・・え?
心の行方
ロンの部屋を出ると、ちょうど死角に双子の兄たちがいた。
満足そうに笑みを浮かべていた。
やっぱり、きいていたか。
「いやぁ、若いねぇ」
「・・・・・・立ち聞きなんて、随分野暮だな」
「「弟の成長を見守ってるだけさ!」」
玩具を眺めるような輝いた瞳でいわれても、実に説得力に欠ける。
しかしそうしたい気持ちもわかるので、ハリーはあえて何も言わない。
ロンが一人で悩みすぎているから、彼女も悩むんだ。
いい加減はっきりしてくれないと、とちょうど思っていたところだった。
「で、いつまでロンをからかう気だよ」
「「さーね」」
表情一つ変えない二人に、ハリーは溜め息をつく。
いつものようにからかっていい問題じゃなかったんだ。
いや、そこまで追いつめてしまったんだ。
独りで涙を流していた彼女が、もどかしくて胸を痛め混乱し続けるロンが
現にいるのだから。
どうするべきか。
ハリーが考えようとしたと同時、二人が小さく笑い声を漏らした。
腹が痛くなりそうになるまで笑い続けた後、二人はまぁ、と切り出した。
「・・・ロンが、自力で掴むまでだよな」
「そうそう」
恋と愛の違いをわかるまで。
もう少し大人になってもらわなきゃ、面白くないんだよな。
僕らの玩具を独り占めするには、それなりに苦しんでもらわないと。
揃った声に、ハリーはまるで二人の意地悪いその笑顔が
移ったように笑った。
ロンを一人部屋に残して、ハリーたちはおばさんの声が掛かるまで
ずっと外で遊んでいた。
クウィディッチは、流石にやれなかったけれど。
スープを飲んでいるの一言に、双子が声を大きくした。
「何、一回帰るの?」
「うん、明日。荷物取りに行くだけ」
まだ学校が始まるまで時間はあるけれど、もう一度くらい
家に顔を出さないと後が煩そうなのだ。
しかも、荷物をこちらに持ってきておけば、後はここにずっといられる。
ホグワーツへだって、いっしょに行けるのだ。
双子は一度ロンの方へ視線を向け、意地悪そうに笑った。
「・・・これから先も、ずっといて欲しいよなぁ、ジョージ」
「もちろん、フレッド」
「「いっそ結婚する?」」
そうしたら、ウィーズリー家にずっと住めるし。
声を合わせて言われ、は思わずスープを吹き出しそうになる。
驚愕して顔は微かだが、紅く染まる。
「そ、れは・・・。わ、私一人じゃ寂しいから、ハリーもどう?」
「え?(何、言い出すんだっ)」
「ハリーがジニーと結婚すればいいわ!そうすれば、寂しくない」
「ちょっと、(僕を引き込むなって)」
「家のお堅い方々が、この綺麗な赤毛をみたらきっと卒倒するわ」
「でもそれじゃあ、ハーマイオニーがあぶれるよ」
ハリーが自分の身を守るために言った一言。
彼女とは仲がいいから、それは嫌だわ。
そう呟いた。
フレッドが声を低くした。
「・・・ロンがいるじゃないか」
「そう、ね・・・!そうしたら、私はハーマイオニーの義姉さんになれるわ」
「・・・・・・・・!」
(((動揺しすぎ、ロン)))
ロンがスープの中にスプーンを落っことし、尚且つ飲んでいたそれに噎せていたのを
とジニー以外全員が、横目で見ていた。
心の中で嘲笑っているのをきっとロンも気付いているだろう。
すまし顔でスープを飲むだけど、内心涙を流す半面怒っているのだろう。
首を傾げるジニーに対し、ロンは必死で誤魔化していた。
僕らは、フクロウ便じゃない。
自分で動かなきゃ何も伝わらないし、攫めないんだ。
たとえ手を延した先に実体が無くとも、本物を探して捕らえなければいけない。
彼女の涙をみたくないといったのは、他ならぬロンなのだから。