藍色の夜空に、ちかちかと星がたくさん光っていた。
プラネタリウムみたいに珍しくきれいにみえる
その星たちの中に浮かぶ大きな月は、明るく夜を照らしていた。
「これ、めっちゃきれい!」
「ほんとだ」
誰もいない夜の堤防は静かで、波の音だけが続く中、
二人は座って花火をしていた。
毎日練習でなかなか時間がとれない亮介のために
が夜ならどうよ、と近くの穴場を発見したのである。
白、橙、黄緑、緑、と色をかえていく花火に
二人はすっかりはまっていた。
花火の光で照らされる互いの顔は、とても綺麗だった。
海に向かって火花を散らさせたり、ぐるぐると空に向かって
花火を動かしたり、とは様々な持ち方をして遊んでいた。
「、なにしてるの?」
「うん、これで宇宙人呼べるかなーっと思って!」
「・・・・・・そっか」
「え、そんなに引かなくてもよくない!?」
「・・・・・・・」
「だって前、沢村くんとか倉持とかがやってたんだもんー」
「はいはい。そんなことより危ないよ」
亮介も一緒にやろうよ!というを無視して、「あ、ひどいシカト!?」とか
言われてもクスクスと笑って流して、でも結局亮介も一緒にやって・・・と
そうやって二人でバカみたいに騒ぎながら
花火を楽しんだ。
一時間くらいすると、線香花火も終わってしまい
持ってきた花火全部がなくなってしまった。
「花火楽しかったー」
「俺も。よくみつけたね、こんないいところ」
「哲にきいたら、教えてくれたの」
さすが地元だよねー、とは笑った。
自転車で15分も充分地元なんじゃないのかな、と思いつつ
亮介は海を眺めた。
「夜の海って何もないねー」
「そりゃあね、今は漁の時期でもないんじゃないの」
「でも静かでいいなぁ」
二人の声と、波の音だけが心地よく響く。
「夏休み、どこにも行ってないの?」
「海行ったら怒るくせに、何言ってるの」
「だって、他の男に水着見せたくないし。俺見れないのに」
「いやーん、嫉妬?嬉しー」
「・・・チアの女の子可愛いんだよね、今年」
「・・・・・・・・・・・・・・・・あ、そう」
「クスクス・・・嫉妬?嬉しい」
「性格悪いですよ小湊くん」
本当は亮介とすっごく遊びたいけど、野球やってる亮介が
一番好きだから。(亮介が打席はいると投手に同情するけどね!)
「夏の思い出、全然残せなかったね。ごめん」
「全然!今日花火したし、野球の応援楽しいし、青春って感じだし」
「昨日練習見に来てたでしょ?」
「あれ、気づいてたのっ?」
「気づくよ。だから、こんなに焼けてたんだ」
「日焼け止め嫌いなのー」
「シミできるよ?」
「うわ、それいうか!まだできてないもーん」
「これからじゃない?」
本当は俺だって、と色んなところいって遊びたいし、
毎日ずっといられるならいいなって思う。
でも、今はの言葉に甘えておく。
やらなきゃいけないことがあるから。
それをわかってくれる人を、裏切りたくないから。
それに、学校始まったらずっといられるしね。
「あー、お祭り行きたいなぁ」
「わたあめとたこ焼と焼きそばとフランクフルトとじゃがバタとあんずあめ?」
「カキ氷とラムネとりんごあめが抜けてる!」
「うわ、全部食べ物じゃん」
「もちろん、金魚すくいもだって」
「、下手そう」
「うっ、痛いとこつくね」
「やっぱり。でもの浴衣みてみたいな」
「着ないよー」
「何で?」
「脱がされそうだし」
「え、脱がしていいんだ。じゃあ着てきて今すぐ」
「変態!」
「じゃあ来年の楽しみにしてる」
「・・・・・・脱がすこと前提ですか?」
さあね、と微笑む亮介の肩が、とん、とにぶつかった。
気づいたら、亮介が凄い近くに座っていた。
なんだかちょっと気恥ずかしくて、きらきらと月明かりで
光る夜の海に視線をやる。
「」
名前を呼ばれて、ん?と顔だけ亮介の方に向けると、
亮介はの頬に肉刺で硬くなった手を当てて、唇を重ねた。
久しぶりのキスだった。
唇を離して、亮介は頬の手をそのままの後頭部にやって
もう片方を背中にまわして、ぎゅっと抱きしめた。
自分の心臓の音がうるさくて、は真っ赤になる。
〜♪
急にの携帯が鳴った。どうやら電話のようだ。
なんで、純?
亮介はそれに気づいて、から離れた。
「おい、そこに亮介いるだろっ?いい加減戻ってこいって伝えとけ!」
大音量でそれだけいって、純は一方的に電話を切った。
あいかわらずばかデカい声だこと・・・。
「だって、亮介。そろそろ怒られちゃうみたいだよ?」
黙ってる亮介に、首を傾げる。
すると、手首を掴まれて、強く引き寄せられた。
じゃあ、と亮介が呟く。
「夏の思い出」
ニコッと笑って、の頭を支えるように手を回すと、
亮介は再びの唇に自分のそれを重ねた。
今度は、何度も角度をかえて。
ん、とが息を漏らす。亮介の舌が唇を割って入ってくる。
歯列をなぞり、口内を荒らす。
生き物のようにそれは口の中で動き、の舌を捕らえた。
初めての深いキスには息を荒げ、悩ましげに眉を寄せる。
その顔は今まで以上に紅潮していた。
のんびりペースはもう終わり
「さて、純がうるさいことだし帰るかな」
「・・・・・・・っ」
「あぁ、夏が終わったら覚悟しといてね?」
もう、俺がまんしないことにしたから。
亮介はにっこりと微笑んで、そういった。