クリスマスで街が盛り上がってる中、私は大きくてかさばる
   ものすごく重いゴミ袋を両手に持って
   一階に着いたエレベーターから降りたときだった。



   「あ、竜」

   「・・・何してんの」


 
   少し呆れたような顔で聞いた竜は、私の両手からゴミ袋をひょいと
   取って、ゴミ捨て場まで一緒についてきてくれた。



   「何でお前、こんな日に掃除してんだよ」

   「えー、友達が皆彼氏のとこ行っちゃってさぁ」



   冷たいよね、と笑うしかない。
   ゴミ袋はなくなったけど、手はもう紅くなっていた。 
   竜がゴミを放る。似合わないな、と心の中で微笑った。



   「初詣も独りになっちゃうからさ、久しぶりにN・Yの親のとこに
    行こうと思って。明後日には行きたいから大掃除しちゃったの」



   隼人には誘われたんだけど、流石にやだし。
  
   エレベーターに乗り込むと、外の空気と違って少し温かく感じた。
   手の赤みが少し引いてきた。

   ふとみた竜の顔が、少し不機嫌になったように見えた。



   「・・・俺と行くっていうのは、ないの」

   「えっ!?」



   着物とか着てくれると嬉しいんだけど、と竜が変わらぬ表情で言うから
   私の顔は真っ赤になった。




   「や、でも、竜は隼人たちと行くでしょっ。だから無理しなくて、」


  

   慌てて捲くし立てる私に、竜がはぁと溜め息をつく。
   エレベーターがチンと音を立てて、目的の階についた。



   「(なんでそんな渋んの)・・・じゃあ、俺もいっしょに行く、N・Y」

   「えぇっ!?ちょ、竜、えっ、ぱぱぱ、パスポート持ってるのっ!?」



   動揺して、変なこと言っちゃった。恥ずかしくて、頬がさらに紅潮する。
   竜は笑いを押し殺していた。





    「もってる。だから、早く選べよ。初詣かN・Yか」




   (できれば、両方が嬉しいんだけど)




   究極の二択に、私はおろおろと竜と自分の紅くなった手を交互にみていた。



   クリスマスに一緒にいてくれたらね、と言えるような自分が欲しい。
   どうしよう、どっちもなんて選べないよね・・・っ。

   悩む私の心を読み取ったように笑った竜の発言に、私は俯くしかなかった。




   「とりあえず、今夜中に決めて」




   ・・・たぶん明日には、竜の思い通りのこたえになってるのだろう。