「あいたっ!」
ビシッというデコピンの音と共に響く、小さな悲鳴。
あっちむいてほいの最中。つまり、罰だ。
「っ、ちゃん!(痛そうっ、た、たすけ、)」
修二とで先ほどからずっと続いている、あっちむいてほい。
ちなみに15戦5勝という痛い結果だ。
おかげで私のおでこはきっと紅いだろうし、ひりひりする。
修二は手加減してるつもりだろうけど、指の太さを考えて欲しい。
うわ、涙目だし私。
「・・・何か私のほうが弱いから、ずるい気ぃすんだけど」
「いーのいーの(つか、涙目可愛すぎ・・・!)」
5敗目くらいから抗議をしているものの、修二は小ばかにしたような
笑みでこちらをみてくるばかり。
それがさらに悔しくて、引き下がれないでいる。
「なぁーんか、二人の世界って感じなぬー」
「(こくこく)」
涙目になるがかわいくて。
寒空の下やるデコピンに、本人も気付いているだろうけど
額は見事に赤くなってしまっていた。
俺の手とは比べ物にならないくらい小さな手。
マニュキュアをしてない爪の細い指からだされるデコピンは、当たったって痛くも無い。
だけど負けず嫌いのアイツは、引き下がるはずもなかった。
もちろんそんなこと、百も承知。
「彰!」
「はっ、はい!なぁーにっ」
「あたしの代わりに修二にデコピンしてよ!」
(フザけんな草野!てめっ、邪魔だけはすんな!)
鬼気迫る修二。助けを求める。
間に挟まれた彰は、おろおろと悩んだ挙句、
「ちゃん、ごめんなぬぅ・・・(しゅーじくん、恐い!)」
と紅くなったあいつの額を見て今にも助けに駆け寄りそうな信子を
強引に(!)引っ張って屋上から去っていった。
それを何食わぬ顔で見送った俺の顔は、込み上げてくる笑みを
必死に押し殺していた。