私の友達は皆彼氏もちで、



   「クリスマスはもちろん彼氏と過ごすに決まってんじゃーんv」と



   薄情な奴らばっか。羨ましい。
   
   親は海外にいるから一人は慣れている私だって、流石に
   クリスマスに独りは辛い。

   彰と信子を誘ったけど、二人とも苦笑で返された。



   うおーん、なんでみんなもう予定が入ってるの!



   最後の望みをかけて、浩太くんの所へやってきた。
   可愛いし、いいこだし、きっと私といてくれる、筈・・・!



   「・・・っごめん!友達と約束してて、(勿体無いけど!)」

   「そ、か・・・(浩二君の浮気者!)」



   バタン、と入れ違うように閉まった桐谷家のドアを寂しく見つめた。

   リビングには温かい暖房が入っていたけど、私の心は寒空。
   溜め息は寂しく響いた。これ以上ここにいてもしょうがないなぁ。




   「おい、」




   低い声に吃驚して、びくりと体を震わす。

   振り返ると、そこには前髪を上げた修二がいた。
   修二は歩いて冷蔵庫から飲み物を出して飲むと、なにやら
   がちゃがちゃやっていた。

   この角度からは何をやってるか見えない。


   お邪魔しました、と帰ろうとする私の首筋に、温かいものが触れる。
   ふわり、と香る甘いにおい。マグカップに入ったココア。



   「・・・外、寒かっただろ。やる」

   「あ、ありがとう(何か、優しい?)」

   「こんな日に独りって、寂しい奴だな(男はいない、な・・・)」

   「(ムッ!)修二だって、同じでしょ」


  
   学校の外では、クラスの奴だって知らない人。
   
   『桐谷修二』を演じている彼にとって、それくらい承知の上だろうけど。
   とりあえず、同じくらい寂しいと、思う。
 
   彰とは一緒にすごさないんだ。意外。てっきり一緒かと。


   
   かたん、とリビングのソファーのところに置かれる小さな皿。


   乗っかっているのはチョコレートの香り漂う、可愛いケーキ。


 

   「まぁ、寂しい者同士ってことで、」



 
   視線は完全にこっちにはこなくて、流し目状態の視線。

   元々端整な顔立ちしてるから、やっぱかっこよくて。
   受け取ったマグカップがさらに熱を持った気がした。



   「これ、食ってけよ」

   「え、(なんで?)」

   「・・・父さんが買ってきたんだけど、誰も食べないから」



   ほら、と修二が視線で催促する。

   おいしそうな大スキな甘い香りと、一瞬だけど温かく微笑んだ修二がそこにいて
   私は誘われるようにソファーに座った。





   (本当はお前がくるのわかってて、待ってたんだっての)





    Merry Christmas !!