からまれた、といっても喧嘩じゃなくて(そりゃ私、女だし)
   ナンパ好きですって顔の男たち。

   一人か二人だったら振り払うんだけど、困ったことに四人もいる。
   四人に対し一人ってどうなの、ちょっと。
   一夫多妻制ならぬ、一妻多夫制?
   それともマワすの?(てか4Pとか5Pとかありって問題でしょ)
      
   ガラはそんなに悪くないから(そのかわり頭は悪い)
   殴られるとかなくていいんだけど、困った。
   何回同じような台詞を繰り返すつもりだ、こいつらは。

   冷静に自分の状況を確認してる奴が、言う台詞じゃないだろうけど。
  

   周りにチラホラ通るくらいの人たちは、揃って見ないフリ。
   わかっているけど、ムカツク。無遠慮な視線を送るくらいなら
   助けろっての糞野郎ども。
   テレビの撮影でもなければ、物語でも、出し物でもない、ただの一般人だっての。

    
   軽い雰囲気漂う四人組みのうち、一人が私の肩に手を乗せた。
   うわ、最悪。




   「・・・下らない」




   思わず呟いてしまった本音に、失敗した・・・と後悔。
   時既に遅し。後の祭り。今日授業できいたことを経験するなんて皮肉だ。
   
   男たちが何か言おうと、口を開いたとき
   ぐい、と手を後ろに引っ張られた。


   


   「悪いけど、先約だから」





   振り向くと、そこにいたのはクラスメイトの桐谷修二だった。
   手を掴んでいるのも、桐谷。

   はァ?と言わんばかりの私と、男四人をよそに桐谷は
   そのまま奴らの姿が見えなくなるまで小走りで引っ張っていった。



   ザマアミロ、男ども。

   

   頭悪そうな顔がさらに馬鹿っぽくなったのが目に入り
   心の中で嘲笑した。最高。



   
   「ありがとう、桐谷修二。先約なんでしょ?何かお礼する」


   

   珍しいな、桐谷が校外で人と話すなんて。
  
   心の中で呟いていることは、きっと桐谷も承知だろう。





   「・・・じゃあ明日、俺に弁当作って屋上に持ってきて」  
   

    

   
   逸らした視線の先で、微笑ったようにみえた桐谷の顔。       
   つかまれたままの手の力が、少し強くなった。熱い、体温。