「はぁっけん!」



   愛しのタケを見つけ、私はすぐに飛びついた。

   ひょいと顔を覗き込むと、タケはただ微笑んでいた。
   困ったように、だけど。らしくない。



   「・・・どうしたの、タケちゃん?」



   いつもなら、遅い!とか、どこいく?とか元気な声と
   明るい笑顔が返ってくるのに。

   首を傾げるに、タケはちょっと眉毛を下げて、自分の喉をトントンと
   叩いた。口パクで何か言っている。


 
   「(い た い)」



   あぁ、喉が痛くて、声が出ないのか。
   そういえばもう、風邪が流行る季節だった。



   「(ご め ん ね)」



   タケの元気な可愛い声(コレは秘密ね)をきけないのは寂しいけど
   辛そうなタケを見るのはもっと厭だった。

   私は首を振って、気にしないでと微笑う。早く元気になって。
 



   「あ、そうだ。私、いいもの持ってる」



   ごそごそとポケットを漁ると、今朝貰った飴が出てきた。
   包みを開けて口元に持っていくと、タケは素直に口を開けてくれた。


   隣でもする微かな蜂蜜と柑橘系の香り。


   タケは少し舐めた後、嬉しそうに微笑った。
   屈んで、の耳元に口を持ってくる。



   「・・・ありがと、ちゃん」

 

   掠れた甘い声に、思わずはタケを抱きしめた。ぎゅっと強く。

   照れ隠しもある。愛しい。

   紅潮した頬が、ばれてないといいな。


 



   (うぉ、すっげぇちゃん可愛い顔!近いっ・・・いいかな?)






   今キスしたら、この飴の味がすんのかな。

   そう考えた時にはもう、タケの体は動いていた。
 


   想像通り、蜂蜜レモンの味だった。