寒空の下、啜る鼻は赤い。

   痛いし、なんなっちゃうなぁもう。

   出てくる気配すらない涙。

   むしろ乾燥しきった目は冬の北風で冷えた。





   「まぁた、フラれたの?」





   うわ、変な顔。

   綺麗な顔を少し歪めて、翼は現れた。

   突然の嫌味にも、切り返す言葉もない。




   「・・・だからアイツはやめとけっていったのに」




   人の話を聞かないからそうなるんだよ、と憎々しげに

   翼はあたしを一瞥していった。

   それでも、翼は優しかった。

   フラれた相手の欠点(毎朝起きるとアイドルのポスターにキスするとか)

   を暴露していった。

   その物言いと、あまりにも酷い爆弾に思わず吹き出した。
  
   (でも、あたしそんな奴好きだったと思うとやだなぁ)

   毎度どこから仕入れてくるのかな、ほんとに。
   



   「(でも・・・あぁ、いつも通りだ)」  



   
   安心して心の中が暖かくなる。

   何度目だろう。毎回毎回フラれたあたしを慰めてくれるのは

   いつだって、翼。

   

   「三割り増しブサイクな顔してるよ。・・・ほら、飴あげるから」    


   
   年々骨ばっていく翼の手がくれた
 
   苺味の飴は甘ったるくて口の中でべたついた。 

   でもそれが今はやけにおいしく感じて。


   どうしてかなぁ、もうあんな奴の顔すら思い出せないや。


   そう思ったのがわかったらしい翼は、フッと微笑んで

   


   「ばぁか」




   とデコピンを一つくれた。

   
   フラれた後が一番優しいから、こんな状況もいいかなって思っちゃうんだ。








 あ し ぶ み に 満 足 








   進むも戻るもしないけど、やめられない。











19.02.10