自由な時代。


誰がそんなことをいったんだろう・・・。


籠の中の鳥は脱け出すことのできない籠の中から、外をぼんやりと眺めているだけだった。





















   甘いお菓子と籠の鳥




















季節は夏。



世の中はまさに、夏休みの真っ最中。

蝉は煩く泣き、太陽がじりじりと照りつける。

今年は今までより暑く、真夏日記録をどんどん更新させているらしい。




そんな中、避暑地の山の奥地にある大きな屋敷。


ここはまるで俗世から隔離されたように静かで、涼しかった。








「ふぅ、完成だわ」






はオーブンから取り出した、クッキーやマフィンなどの
様々な洋菓子を高価な皿に並べていた。

周りには誰もいなくて、凄く広いこの屋敷に聞こえるのは鳥のさえずりくらい。


並び終えたお菓子を広いテラスに持っていく。


テラスにある真っ白なテーブルには、すでに運んであったティーポットやカップが置いてある。

太陽の光でキラリ、と光ったそれをは微笑んで見ていた。


カップに綺麗な赤銅色の紅茶を注ぎ、はゆっくりと腰を下ろした。



その物腰はとても優雅で、まるで蝶のよう。







「さぁ、今回のお菓子は・・・」







誰に話しかけるでもなく、一人呟く。

そして、一番手前にあるクッキーを一つ手に取り、口に入れた。

一瞬にして、爽やかなオレンジの香りが口の中に広がる。


・・・うん、なかなかの出来。



クッキーを飲み込み、カップの手にとり紅茶を飲もうとカップを口に近づけた瞬間。




何かがとんできて、少し離しておいてあった、百合の入った花瓶を派手にぶっ飛ばした。


花瓶は床に叩きつけられ、豪快な音を立てて割れた。

器が割れた百合は無残に花瓶の欠片と水の上に投げ出される。






「!」






何があったかわからずに、呆然と固まっているの前を、
トントントン・・・とサッカーボールが転がった。






「やっべー・・・。すみません、ボール飛んできませんでしたか?」





申し訳なさそうにかけられた、少し高めの声にはハッと我にかえる。

すると、テラスに可愛らしい人がのぼってきた。



赤茶色のウェーブした髪、意志の強そうな大きな瞳。

身長はよりやや高いが、細身の小柄な人だ。

一応、パーカーにハーフパンツという格好だが、見ただけでは

この人物が男か女かはわからなかった。



がどう対応していいか分からず困っていると、割れた花瓶を見て、
その人はやってしまった・・・、という表情をした。





「やっば。すみません、花瓶・・・割れちゃったか。弁償、しますから」

「いっ、いいえ。別にかまいませんわ。
 どうせ、安物ですし。お気になさらないで下さい」




が微笑むと、その人はでも、と渋るような表情を見せる。

どう見たって、その花瓶は安物ではなかった。普通の人にとっては。





「本当にお気になさらないで下さい」

「でも・・・」




悩んでいるその人に、は更に笑みを深くした。











「ただし・・・お茶会に付き合っていただけますわね?」