さぁ、一体この人は何なの?
コレだけやれば、本性も現れる。
そして、気付いていることが間違いだと思うだろう・・・。
甘いお菓子と籠の鳥
が、心の中で喜んでいると、翼が突然口を開いた。
「・・・じゃあ、さんもそうしてくれる?」
「え・・・・?」
一体どういう意味なのか、には分からなかった。
その様子を見ながら、翼は紅茶を綺麗な仕草で飲んだ。
「だから、無理して嬢言葉使わないでいいよって言ってんの。
疲れるだろ?そんなバカ丁寧な言葉遣い」
「・・・・・・・」
「バレてないと思ってた?」
サラリと言う翼に、は言葉を失った。
バレているとは・・・。まさか・・・こんな一般人に・・・。
今までどんな社交界でも、お偉いさんでも分からなかったのに。
なんて、鋭い人なんだろう。
それでもまだ、一応は“”という姓を背負っているのだから、
あっさりと認めるわけにはいかなかった。
「何をおっしゃっているのか、わかりませんわ。
先ほど申しましたように私は生まれた頃からこの話し方です」
「白々しい。そりゃあ、金持ちのお偉いさん方には通じるだろうけど、俺にはバレバレ」
やるならもっとしっかりやれよ。瞳が笑ってないよ、さっきから」
「・・・・」
「何、まだ言い訳したいことある?」
初めの方の謙虚な態度は何だったのだろうか。
普通に話せ、といった途端ガンガンといってくる。
さっきからの違和感は、この人が私を試している、というのが
感じられたからだったのか。
微笑ましく話をして、お茶を飲む・・・一見そんな風に見えた薄っぺらい演技は
翼の策略だったのだろうか。
しかし、不思議なことに嫌な気分にはならなかった。
は、はぁ・・・と溜め息をつく。
「・・・・はいはい、わかりました。素で話せばいいんでしょ」
「初めから素で話して欲しかったんだよ。嬢言葉なんて気持ち悪くてききたくないね」
「さっきからいってくれるじゃない、天下ののお嬢様に」
あてつけのようにいったのだが、翼はフン、と鼻であしらった。
「その天下ののお嬢様が、こんな言葉遣いでいいのかよ」
「あんなネチネチした回りくどくて長ったらしい言葉遣いなんて、めんどくさすぎだっつーの」
「何人あの猫かぶりに騙されてるんだか。騙されてる奴らの顔を是非見て見たいね」
「最高の猫でしょ?誰もが見とれる可憐なお嬢様。
その仕草は蝶のよう、可愛らしい唇から発せられる言葉は人魚姫の歌」
「社交界の姫君ってか。ハンッ、バカらしい」
翼はクッキーを口に入れて、空を仰いだ。
「・・・・・で、何でこの屋敷には人がいないの?」
この人は、鋭すぎる。
どうしよう。
これでは、“”のことがバレてしまう。
でも・・・。
この人とは、友達になりたい。親しくなりたい。
正反対の思いはの頭でグルグルと回る。
そんなの様子を翼は何食わぬ顔で見ていた。